血糖値を上げない生活

収穫前の稲穂の写真

「天高く馬肥ゆる秋」──澄み切った秋空の下、馬がゆったりと草を食む姿が浮かびますね。涼しくなると、なぜか食欲が旺盛になります。以前の『ここから通信』で、日照時間の減少からくるセロトニン生成不足を糖質を摂ることで「脳の満足度」を上げる、という観点からお話しました。セロトニンとは、「幸せホルモン」と称される神経伝達物質です。食べることで幸福度を上げたい欲求が「食欲の秋」を生み出します。柿・栗・さつまいも・きのこ・脂ののったお魚・そして新米と、実りの秋を迎えて「日本人に生まれてよかった」と思えるほど、美味しいものが食卓に上るようになります。

そこで気になるのが、血糖値の上昇とその結果の肥満です。「血糖値が高くて何が悪い」と言われると困るほど、血糖値が高いだけだと初期のころは自覚症状が全くありません。しかし、これを放置すると糖尿病に突入し、恐ろしい合併症へと続きます。今回は、そうなる前に「糖尿病とは何か?」を知っていただき、血糖値を上げない生活をしていくヒントをお伝えしたいと思います。

体を動かすエネルギー産生の秘密

⾞を動かすのはエンジン、スマホやパソコンを動かすのはバッテリー。では、私たちの体は何で動くのでしょうか︖それは、食事から摂り入れた栄養素(糖や脂肪)と、呼吸で取り入れた酸素を使って、細胞内小器官「ミトコンドリア」が作ってくれるATP(アデノシン3リン酸)というエネルギー物質です。体の中で特に⼤切な臓器では、細胞1個の中に2,000個もいるミトコンドリアが、たくさんのエネルギーをつくってくれます。糖は、エネルギー産生には不可⽋の栄養素ですが、多すぎてエネルギーに変換できなかった場合、血糖値を上げ、肥満の原因になります。

糖尿病とは

膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されないと、細胞は糖を受け取ることができません。膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が死滅して、インスリンを分泌できなくなったのが、1型糖尿病。生活習慣等の影響で、インスリンをつくる⼒が衰えたり、インスリンが効きにくくなっているのが、2型糖尿病です。糖尿病の原因としては、食べ過ぎ、運動不足、遺伝要素があります。

糖尿病判定の基準

空腹時血糖値が110㎎/dlを超えたら要注意。126㎎/dlを超えたら糖尿病です。HbA1cでは、5.5〜6で要注意。6を超えたら厳重注意。6.5以上は糖尿病です。HbA1cとは、血液中のヘモグロビン(細胞に酸素を運ぶ重要な役割をしています)が血液中のブドウ糖と結合(糖化)した度合いを%で数値化したものです。

糖尿病から起きる代表的な合併症

糖尿病腎症

血糖値が高い状態が続くと、腎臓が糖を再利⽤もしくは尿として排泄するためフル活動します。腎臓のろ過機能への過重負担のため、腎機能が低下します。腎臓が機能しなくなると人工透析が始まります。週3回、4時間くらいの時間を一生費やすことになります。

糖尿病神経障害

血管や神経の障害により⼿足の感覚が鈍くなり、傷の修復もできにくくなるため、ちょっとした傷から壊疽が起こり、⼿足の切断に⾄ることも。

糖尿病網膜症

目の⽑細血管の詰まりや断裂のため視⼒が落ち、失明することもある。

このほかにも、血管のダメージや詰まりにより、脳梗塞、心筋梗塞のリスクが2倍から3倍に高まります。

血糖値を上げない生活

食事

  • ゆっくりよく噛んで食べる(箸置きがおすすめ)
  • 野菜から食べる
  • お酢を使う

空腹時に糖質のドカ食いは命取り(血糖値が急上昇)。「今自分の体に必要か?」と細胞に問いかけてみたら、無意識の食べ過ぎが防げるかもしれませんよ。

運動

  • ⾞より徒歩
  • 早歩き
  • 階段を使う
  • うでふり体操

筋トレもいいけど、有酸素運動がおすすめです。

ストレスレス

  • 趣味を持つ
  • 好きな音楽を聴く
  • アロマ
  • 自然の中でリラックス

セロトニン不足が食欲を増加させる要素があるので、自分流の気分転換(幸せを感じる時間)を持てるようにしましょう。

睡眠

睡眠が足りていないと食欲が増すことが、データ上明らかになっています。良い睡眠は、心も身体もすこやかにします。

糖尿病による血管障害には、活性酸素も関わっています。ここでも私たちのAOVASODが、合併症予防に⼒を貸してくれますよ!!