細胞は何で動いているの?
空腹になれば力を出せない。これはヒトも細胞も同じ。300種類以上の機能をもった組織に成長する60兆個の細胞を、毎日動かしている発電所はどこにあるのでしょうか。ひとつの大きさが0.006㎜ほどの細胞の中には遺伝子にたずさわる核のほかに、ミトコンドリアという小器官がいます。その数、細胞一個につき数百から数千もあるといわれ、ここが細胞を動かすエネルギーの源になります(他にも色々な小器官があります)。
モウレツ社員のように働くミトコンドリア!
食事から摂取した糖を、呼吸でとり入れた酸素を使ってエネルギーに変換し生産するミトコンドリアは、細胞の中の働き者です。ところがこの過程で、とり入れた酸素の2%が、強い酸化力を持つ活性酸素に変わってしまうのです。エネルギー代謝するときの燃えカス(不完全燃焼)の酸素が代表的な活性酸素(O-2)で、細胞の酸化(イコール老化)を招きます。ミトコンドリアには、この活性酸素を取り除く抗酸化酵素SODが備わっています。ミトコンドリアの活性力が強く数も多ければ、燃えカス酸素ができにくくなり、老化しにくい体になるということです。ミトコンドリアは、エネルギーを生み出し、SOD酵素を作るなど、スタミナと若さのカギを握る働き者です。
体に備わったSODだけでは、増えた活性酸素を退治することはできない
ヒトの免疫細胞の中にもミトコンドリアがあり、SOD酵素も備わっています。免疫細胞の中では、菌やウイルスを退治するために殺菌作用の強い活性酸素を作り出して、体を守っていますが、必要以上に増えた活性酸素は、その酸化力の強さであらゆる病気の原因になります。活性酸素を取り除いてくれるSOD酵素は残念なことに、20歳代をピークに40歳代頃から急激にその力が低下します。ミトコンドリアの中のSODも同じように活性力を失っていくので、生活習慣病と言われるような病気にかかる可能性が高まります。糖分を燃やしてエネルギーを作った燃えカスは酸化力が強くて細胞を錆びさせ、生活習慣病を誘発します。大気汚染、化学物質、紫外線、放射線、食生活の乱れ、ストレス社会など活性酸素が増えることばかり多い生活環境で、私たちは生きていかなければならないのです。
人間以外の生物は環境に対応しながら生きている
自然界ではそれぞれの生物がバランスを守っています。動物はある生息環境のなかで、個体数が増えすぎると、自然にブレーキがかかったり、植物は自らの力で増えすぎた活性酸素を除去することができます。ところがヒトは、自ら引き起こした暮らしをとりまく環境の変化や、体内のバランスをとることが大変困難なのです。たとえばカラダの中で増えすぎた活性酸素を除去するために、体の外から優れた抗酸化食品を摂ってあげることで、バランスをとる必要があるのです。