生命の仕組みは不思議に満ちている

細胞のイメージ

体は、外から侵入するウイルスを知らぬ間に退治してくれ、傷ができても時間がたてば、皮膚は自然と元に戻ってくれます。私たちが当たり前だと思っている「生きている」ことの裏側には、じつにたくさんの不思議が、昼夜を問わず一生懸命に働いてくれているからです。今回は生命の一端を体の中の一番小さな単位の細胞から探り、ミトコンドリアへ。さらにアフリカの不毛の大地に根を降ろす植物ルイボスから、生きる力をさぐってみようと思います。

カラダの不思議大発見!

ヒトの細胞は60兆個ありますが、そのすべての元はたった一つの受精卵からできています。その一つが細胞分裂をし、コピーをくり返しながら増えていき60兆個になります。60兆個の一つひとつの細胞には核があり、その微小な空間になんと大百科事典3000冊分に相当する膨大な遺伝情報があります。「かえるの子はかえる」と言われるように親から子に、姿や形、さらには性質までもが伝わっていく遺伝情報が納められている60兆個の細胞は、役目の異なる300種類以上の機能をもった組織を構成します。不思議なのは、同じ情報をもった遺伝子なのに、ある細胞は髪の毛になり、ある細胞は心臓になる。細胞に目的別の交通整理ができているのはどうしてでしょうか。じつは頭の髪の毛の細胞の遺伝子は毛が生えるためだけのスイッチがオンになり、心臓は心臓になるためだけのスイッチがオンになっているからです。

細胞は生まれ変わっている!

それぞれの細胞には寿命があり、最短では胃や腸を覆う上皮組織がわずか24時間で死んでいきます。そのあと死んだ数の分だけが増殖して補われるのです。ヒトには教育期間が必要ですが、細胞は補充されたとたん、自分のやるべき仕事をてきぱきとこなします。